きっかけ#
KDE Plasma を使っていて、タイリングと軽量化をしたくなった。KDE のウィンドウマネージャー KWin にも KDE 6 からネイティブタイリングが入ったが、Quick Tile ショートカット(Meta+←→)とタイルエディタが別システムで連携しないという問題があった。「どうせならちゃんとしたタイリング WM を試してみるか」というのが出発点だ。
環境#
| 項目 | 値 |
|---|---|
| OS | CachyOS |
| GPU | NVIDIA RTX 4090 + AMD Raphael iGPU |
| DM | plasmalogin |
| Kernel | linux-cachyos 7.0.1 |
Sway を試す#
インストール#
まず Sway + 周辺ツールを入れた。
sudo pacman -S sway waybar wofi mako swaylock swayidle grim slurpfishCachyOS の cachyos-sway-settings 相当のパッケージは存在しないので、設定は全部自前で書く必要がある。chezmoi で管理する形にした。
Nvidia で真っ暗になる問題#
ログインすると真っ暗になって何も操作できない状態に。原因は2つあった。
① nvidia-drm.modeset=1 が未設定
Limine ブートローダーを使っているので /boot/limine.conf の cmdline に追記した。
cmdline: quiet nowatchdog splash rw rootflags=subvol=/@ root=UUID=... nvidia-drm.modeset=1plaintext② --unsupported-gpu フラグが渡っていない
Sway は Nvidia proprietary ドライバーを公式サポートしておらず、--unsupported-gpu フラグなしでは起動を拒否する。
plasmalogin は ~/.local/share/wayland-sessions/ を読まずシステムの /usr/share/wayland-sessions/ しか参照しない。シンボリックリンクも pacman 更新時に上書きされる。
最終的に採用した解決策はラッパースクリプト + 別名 .desktop ファイルだ。
# /usr/local/bin/sway-nvidia
#!/bin/sh
exec sway --unsupported-gpu "$@"sh# /usr/share/wayland-sessions/sway-nvidia.desktop
[Desktop Entry]
Name=Sway (Nvidia)
Exec=sway-nvidia
Type=Application
DesktopNames=sway;wlrootsinisway パッケージとは別ファイルなので更新で上書きされない。/usr/local/bin/ も pacman の管理外なので永続する。
③ Nvidia 環境変数
~/.config/environment.d/20-sway-nvidia.conf に以下を追加した。
LIBVA_DRIVER_NAME=nvidia
GBM_BACKEND=nvidia-drm
__GLX_VENDOR_LIBRARY_NAME=nvidia
WLR_NO_HARDWARE_CURSORS=1
WLR_RENDERER=vulkanini使い心地#
起動自体は成功し、タイリングも動いた。ただし KDE で当たり前に使えていた機能を一つずつ手動で揃える必要があった。
- KWallet:
kwalletd6を autostart に追加しないと Chrome・Dolphin の認証情報が使えない - クリップボード履歴:
cliphist+wl-clipboardを別途セットアップ必要 - ダークモード: GTK・Qt それぞれに個別設定が必要
- スクリーンショット:
grim+slurp(Spectacle は xdg-desktop-portal 設定が必要)
「WM は軽量だが、DE として動かすための周辺整備コストが高い」という結論になった。
COSMIC DE を試す#
インストール#
CachyOS のリポジトリに v1.0.11 が入っていた。
sudo pacman -S cosmicfishcosmic.desktop がセッション一覧に追加されてすぐ使えた。Sway のような --unsupported-gpu 問題は発生せず、Nvidia でもそのまま起動した。
良かった点#
タイリングがファーストクラス機能として設計されている点が最大の利点だった。
| キー | 動作 |
|---|---|
Super+←→↑↓ | フォーカス移動 |
Super+Shift+←→↑↓ | ウィンドウ移動 |
Super+G | タイル/フローティング切り替え |
Super+S | ウィンドウスタック(タブ化) |
hjkl | Vim ナビゲーション対応 |
KWin のように「タイルエディタと Quick Tile が別システム」という問題がない。ワークスペース単位でタイリングの ON/OFF も切り替えられる。
厳しかった点#
- GTK/Qt テーマ統合が未熟: ダークモードを設定しても Chrome のブックマークバー等に適用されない。KDE は
kde-gtk-configが自動同期してくれるが COSMIC にはまだない - クリップボード履歴なし: KDE の Klipper 相当の機能がビルトインでない
- カスタマイズ性: KDE に比べると設定項目が少ない
まとめ#
| KDE Plasma | Sway | COSMIC | |
|---|---|---|---|
| タイリング | △ Quick Tile とエディタが別 | ◎ ネイティブ | ◎ ファーストクラス |
| Nvidia 対応 | ◎ | △ 要設定 | ○ |
| 周辺統合 | ◎ KWallet・クリップボード等完備 | △ 全部手動 | ○ 標準で揃ってる |
| テーマ統合 | ◎ | △ | △ GTK/Qt が課題 |
| 成熟度 | ◎ | ◎ | △ v1.0 リリース直後 |
結論として今回は KDE Plasma に戻ることにした。タイリングの体験は COSMIC が一番良かったが、GTK テーマ統合・クリップボード履歴など日常使いに必要な機能の完成度がまだ KDE に及ばない。
COSMIC は成熟するのを待ってまた試したい。